蒼穹と海の間《あわい》に
高野山開創1200周年記念フラメンコ奉納公演

空海が高野山に密教の道場を開いて今年で千二百年目になります。この記念すべき大きな節目を迎えて、高野山では四月から五月にかけて毎日絢爛豪華な大法会が執り行われます。高野山開創千二百年記念行事の一環として踊りを奉納させて頂く運びとなり、身に余る光栄に存じます。

真言宗の総本山で奉納公演を行うのは二回目です。前回は六年前の2009年6月14日、弘法大師の誕生会《たんじようえ》を記念して踊りを奉納致しました。私は七十五歳になりましたが、来し方を振り返ると、空海の教えが私の精神形成にいかに大きな影響を及ぼしたかを日々感じます。弘法大師のお生まれが四国讃岐であること、インドに発する密教を日本に伝えたこと、また同じくインドが故郷と伝えられるジプシーがイベリア半島南部で育んだのがフラメンコであることなどを考え合わせると、摩訶不思議な因縁を感じずにはいられません。

高野山は決して交通の便がよい場所ではございませんが、お大師様が密教伝道の拠点を構えたのも頷ける清浄かつ神聖な気配に満ちた山です。ぜひ足をお運び下さいますようお願い申し上げます。

小島章司